交通事故の後遺症で脳梗塞を発症した時に慰謝料を請求できるのか

後遺症は事故の激突の勢いによって体の一部が深く損傷し、その後の人生に大きくかかわるような症状が継続して続くことです。後遺症を患った時には相手に過失があるため、請求すれば相手が契約している保険会社から慰謝料をもらえます。

ただ後遺症の中には、相手に過失があるのに請求が難しいものがあります。その一つが脳梗塞であり、なぜ脳梗塞が請求することが難しいのか要点を紹介します。

脳梗塞とはどんな症状なのかおさらい

そもそも脳梗塞とはどんな症状なのかおさらいすると、簡単にいえば脳に存在する無数の毛細血管に血栓が詰まることによって血流が止まり脳の機能が止まってしまうことです。血管は血液を全身に運ぶ役割がありますが、それ以外にも体内で吸収できなかった老廃物や毒素を外に排出する役目を持っています。

本来血管の中にある老廃物や毒素は、血液循環によって大腸や腎臓などに運ばれることで排せつ物と一緒に排出されて体内は安定を保っています。しかし何らかの原因で排出されるはずの老廃物が血管の中で固まると、本来流れるはずの血液の中にある赤血球が固まって血栓になってしまうのです。

そして大きくなった血栓が血液の流れで剥がれると、その血液の流れに乗って全身を巡り、やがて脳の毛細血管にたどり着きます。毛細血管は全身の血液をくまなく巡らせるために幅が小さいことが特徴であるため、毛細血管の幅を超える大きさになった血栓が入り込むと通り越すことができずに止まってしまうのです。

そして血栓によって詰まってしまった血管は、十分な栄養と酸素が送られなくなるので脳組織が壊死し最悪の場合死に至る重大な病気になります。

基本的に脳梗塞は生活習慣病として扱われている

基本的に脳梗塞という病気は、飽食の時代となった現在において発症件数が増えている現代病です。脳梗塞を引き起こすのは赤血球が固まったことによる血栓が原因ですが、その血栓を作ってしまう原因が塩分や脂肪といった老廃物が固まることでせき止めてしまうのが理由になります。

脳梗塞が現代病といわれているのは、現在の食生活は昔に比べて糖質や塩分そして脂質の量が格段に多いために吸収しきれず血管を詰まらせてしまうからです。

基本的に人間の味覚は味が濃いほど美味しいものと感じるように出来ており、現在の食生活はその欲求を満たすように味付けされています。そのため人間の体で処理できる老廃物の量というのは制限があるのに、現代の食生活は排出できる量を軽く超えてしまいます。

そのため若い世代でも血栓ができやすい状況になっており、これまで脳梗塞は50代以上で発症することが多かったはずが、20代から30代の若い世代でも増えているのです。

請求が難しいのは事故との因果関係を立証するのが難しいから

交通事故の当事者になってしまった後で数日後に脳梗塞になった時に、普通に考えればその脳梗塞は交通事故が原因の後遺症で発症したと考えます。しかし脳梗塞を発症して体の一部が機能しなくなった後に、事故が原因と相手側に請求しても保険会社から満額で慰謝料が支払われることがない場合があるのです。

なぜ満額で支払われないのかというと、それは血栓ができるメカニズムには2種類存在するからです。一つ目は血管内の老廃物が原因で血管の幅が狭まってしまい、そこに赤血球が蓄積し塊ができることで出来ます。2つ目のメカニズムは人間は傷がつくと、そのままでは傷が広がるだけでなく雑菌の進入路になってしまうため縫合する必要があります。

そこで脳の指令を受けた血小板が、自身の作り出す酵素を使って怪我した部分を埋めるために血栓を作るというものです。この血栓ができるメカニズムに2つあることが問題であり、脳を詰まらせることになった血栓がどちらで出来た物なのか発症した後では分からないのです。

そのため事故を起こした後に発症したとしても、事故以前に血管内で血栓が生まれていたものという可能性が捨てきれないため満額請求が難しい状態になります。

因果関係が認められた事例は確かにあるのであきらめない

事実として脳梗塞が起きた時に慰謝料請求をするのは大変難しいといえますが安心してほしいのは民事裁判の歴史の中で、交通事故と脳梗塞の因果関係が立証されず満額で慰謝料請求がされなかったということはない事です。

この因果関係の証明は、やはり血栓が体のどこで作られた物なのかが重要になります。実際にあった事例において、被害者は病院の定期検診で血管やコレステロール値など全く問題ない健康体であったことが分かっています。

後日運悪く事故の当事者になってしまい、その事故によって首の頸椎の血管の一部が損傷してしまったのです。その損傷が原因で血管の修復に使われる血栓が剥がれてしまい、それが脳に行きついてしまったことで脳梗塞を発症してしまいます。

この場合事前に病院の定期検診で血管やコレステロール値に問題がないことがわかっていたので、脳梗塞の原因が事故との因果関係があると立証されたことで医療費込みの慰謝料請求に成功したという形になります。この場合は相手側に完全な過失があるので、慰謝料の費用は後々の生活に大きな支障をきたす第1級に相当する額の支払いが命じられることになったのです。

これはあくまで定期検診で問題がなかったことがあらかじめ分かっていたので請求は成功した例になります。ただ何度も言うように、事故の後に脳梗塞を発症しても因果関係を立証をするのは難しいです。ただ法律では因果関係が完璧に証明されなくても、事故にある程度の可能性があることがわかれば慰謝料は本来請求される額の5割を支払われるようになっています。

そのため事故の後に脳梗塞を発症した場合で言語障害を起こしていない場合には、直ちに弁護士に依頼して半額でも請求して慰謝料を勝ち取ることが重要になるのです。

事故の後に脳梗塞を発症しないためにも相手の保険金で全身の血管の検査をしよう

脳梗塞は一度発症すれば命にかかわるだけでなく、例え助かっても脳の一部が機能不全を起こし体の一部がマヒをするのは避けられないです。そのため5割とはいえ慰謝料請求ができるといっても、事故の後に発症しないためにも精密検査が重要になります。

事故の後は、相手側の過失によって加害者側が契約している保険会社から全額治療費を請求することができます。全額保証されるということは、逆に考えればこの段階で大学病院の高度な機器で精密検査を受ければ血管から脳の状態まで全身の検査が容易にできるのです。

そこで血栓があることがわかれば、それは事故の前に出来ているものと判別できます。この段階で手術や薬で取り除いてもらえば、事故とは関係ないので自己負担にはなりますが事故の後の脳梗塞を防ぐことになります。精密検査で血栓がないことがわかれば、数日経った後に脳梗塞になってしまった時には体の修復する際血栓が剥がれて運悪く発症してしまったことがわかります。

その場合は相手側と警察や弁護士を介して連絡を取り合うことが出来れば、発症した脳梗塞は事故との因果関係があるので慰謝料請求ができるということになるのです。